長々と悩む!
前回、翻訳の仕事について、「私たちは単語たった一つに何時間も悩んで…」と書きましたが、本当、いつまで悩んでいるんだ?と思うほど、延々と悩んでいます。 だから、アメリカではギャラを時給で計算することがあるんですが、時給は嫌なんです。長くなり過ぎたら金額が高くなって申し訳ないので、早くしなきゃと焦ってしまう。それより、1つの単語に一日中悩める定価の方がうれしいです(普通の会社員だったら失格ですが^^!)。 例えば先月、こんな一文がありました。カンボジアのリゾートホテルを紹介する記事の1文です。「Set among the treetops floating some 16 feet high, an infinity pool looks out over the green expanses. 」 直訳すると 「約16フィートの高さに浮かぶ高い木の上にあるインフィニティプールは、緑の広がりを見渡す」 英語では「プール」が主語になっているから、「プールが見渡す」で確かに文法的には合っているけど、ちょっと意味不明瞭。 「~インフィニティ―プールからは、緑の広がりを見晴らせる」的な文章に変えましょう。 しかし「緑の広がり」って一体どれくらいの規模かしら?ネットを検索して写真を探し出し、そこに自分を置いてみたり、感覚を想像してみたり、時に立ち上がって棚を拭いたりしながら、ようやく決定。最後に「16フィート」を日本の読者さんが想像しやすいようにメートルに変換して仕上げます(下写真:まるでキャッチ風に入れていますが、キャッチではないです。本文中の1行です)。
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