お客様は神様じゃない。


~「働く女性のLife Designマガジン アヴァンティ」に連載中のコラムより

 アメリカでは「お客様」は確かに客ではあるけど、決して神様ではない。スーパーに行けば、どれだけ行列ができていようとキャッシャーはしばしば手を止めて同僚とのおしゃべりを楽しむし、かつこのおしゃべりは客側の質問を遮ってでも行われる。また、小売店やレストランの中には「当店にはあなたにサービスを “提供しない権利” があります」というサインを目立つ場所に付けているところもあり、かなり強気だ。  カスタマーサービスに電話をすれば、まず、最初に人間が出ることはない。次から次に現れる機械のオペレーターをゲームのようにクリアし、さらに1時間ほどたらい回しされた挙句に電話が突然切れることもある。少なからず起こるこのアクシデントについて、大手企業のカスタマーサービスで働いていた知り合いに聞くと、「1時間に何人裁くというノルマがあるので、ややこしい問合せは間違えたふりをして切るんだ」との回答(え!)。  宅配業者はしばしば小包を玄関の前に置いて、ピンポンダッシュで逃げていく。家人がいようがいまいが関係ない。外出先から戻ってきたら、目立つ場所に置きっぱなしの小包が盗まれていることもあるし、お知らせもなく投げ込まれた隣人宛ての古びた小包をある日、庭の隅に発見することもある。ここには日本の宅配業者のような涙ぐましさはナイ!

 しかしモンスターカスタマーも少なくないアメリカで、サービスを提供する側の強気の姿勢はある意味、秩序の維持に一役買っているのかもしれない。お客様すら神様になれないこの国では、とんでもない客なぞ、一番下っ端のバイト生からもばっさりぶった切られる。  ちょっと前に日本のニュースで、無断駐車を阻止しようと「車をロックします! 外してほしかったら4万円!」などの過激な貼り紙をしたコンビニが議論になっていたが、アメリカではこのようにはっきりと店側が被害を被る場合は、貼り紙などの「お情け」は期待できないだろう。あっさりレッカー移動されて、その費用約3万円を車の持ち主が負担というのが予測される終着点だ(といってもアメリカでは店の駐車場が広大なところが多いので、この手のトラブルはあまりない)。  アメリカに住んでいると、店や会社の適当な対応に呆れることも多いが、こちらに住んでいる限りは私もサービスを提供する側に立つことがあるわけで、実際その立場に立ってみると、このくつろいだ環境はまるで天国のように感じる。  働くときはストレスの少ないアメリカで、サービスを受けるときは至れり尽くせりの日本で…なんていう好都合な世界を夢見ている今日この頃だ。

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