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ボディコン老婆のいる世界

 ~「働く女性のLife Designマガジン アヴァンティ」に連載中のコラムより~ 

~「働く女性のLife Designマガジン アヴァンティ」連載中のコラムより~

 ユーチューブでニュースを見ていたら、出資法違反の疑いで逮捕された山辺節子容疑者(62)が映っていた。テレビでは詐欺事件そのものよりも、むしろ24歳もサバを読んでいたことや、その「若作りファッション」が話題を集めているようだ。

 私自身は、詐欺行為は許せないことだが、若作りについては他人がくちばしを入れることではないと思っている(サバを読むのも結構大変だから、自己責任でやればいいんじゃない?)。人の目など気にせずに、自分が幸せと感じる服装をすることが大切なのだ。そういう点ではアメリカはとても自由だ。よくアメリカに訪れたことのある人が、アメリカのお婆ちゃんは真っ赤な口紅をしてカラフルな服を着て素敵…などの感想を述べているが、実際にアメリカに住んでみると、そのレベル(?)は想像以上に高いことに気付かされる。

 お尻まで見えそうなマイクロミニのボディコン女性や、フーターズガール風のファッションの後姿が何かおぼつかないと思っていたら、80歳ぐらいのおばあちゃんだったことは数知れず(主にサルサクラブにて)。そんな彼女たちを見たとき、私の高尚気取りのくちばしはポキンと折れる。「自分が幸せと感じる服装をすることが大切」と日頃言っているくせに、思わず「あれはヤバイんじゃないか」「もっと年相応のファッションをした方が好感を持てるのではないか」などの余計なコメントが頭を駆け巡る。

 しかし、冷静になった脳内コンピューターがはじき出すのは、やはりいつも同じ答えだ。「人がやりたくてやっている服装に、他人がどうのこうの言うものではナイ!」。実際、「年齢は単なる数であり、私は着たいものを着る」という堂々たる先輩方の功績は大きい。なぜなら、彼らが切り開いた道により、私のような臆病者にも、「着てもいい、でも着ない」と自ら選択できる環境が開かれているからだ。それはまるで檻のない世界のようで、檻の外に出て行くつもりがなくても、妙に心が軽いものだ。

 蛇足だが、アメリカではさまざまなダンスクラブでよくお年寄りの姿を見かける。先日、行きつけのサルサクラブのダンスフロアで高齢男性が倒れて亡くなった。その話をしていたら、社交ダンスクラブに通っている私の友人二人が、「私たちのクラブでも何人の男の人が亡くなっているか…」と口をそろえた。高齢者の多い社交ダンスクラブでは、サルサクラブとは比べ物にならないほどの頻度で高齢男性が亡くなるのだという(場所は主に男子トイレ。女性は死なず…)。しかし亡くなる直前まで踊りまくっているとは、ある意味、夢のような大往生である。「檻のない」アメリカだから、そんな死に方もできるわけだ。

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